
分析
報道によると、大阪国税局は、2022年2月21日、従業員ドライバーの給与を外注費と偽り、不正に消費税の還付を受けるなど、約1,900万円を脱税したとして、消費税法違反などの疑いで、会社と元社長を刑事告発しました。
【消費税の告発事案】
| 年度 | 平成28 | 平成29 | 平成30 | 令和1 | 令和2 |
|---|---|---|---|---|---|
| 告発件数 | 23 | 27 | 41 | 32 | 18 |
| うち、不正受還付事案 | 11 | 12 | 16 | 11 | 9 |
| (不正受還付割合) | 48% | 44% | 39% | 34% | 50% |
(国税庁「令和2年度 査察の概要」(令和3年6月))より)
※消費税不正受還付罪については、平成23年度税制改正において、未遂罪が追加され、還付請求後、還付金を受け取っていなくても、処罰される規定が創設されています。
消費税の不正受還付事案では、輸出免税を利用した事案や架空経費計上による事案が多いと思われますが、本件事案は、給与を外注費に偽装した事案であり、実務的にも、節税対策の一環として、安易に行っている事業者の方も少なくないのではないかと思います。形式的には、請負契約書を作成すれば外注費への切り替えは可能とも言えますが、代替性や指揮監督、危険負担、経費負担などが雇用契約のままで、請負契約としての実態が整っていなければ、外注費に偽装し、不正に消費税の還付を受けたと言われても致し方ありません。なお、依然として、この方法が、節税対策の一環であり、脱税ではないと思われている方も少なくない様ですが、外注費の偽装が「億」を超え、還付金が数千万円になるなど、悪質と判断されれば、査察調査の対象になり得ることを肝に銘じて置くべきかと思います。
本件からの教訓としましては、節税対策と認識していたものが、実は、脱税だったということもありますので、節税対策を実行する前に、専門家に相談しながら、慎重に対応することをお勧め致します。おそらく、本件事案は、税務調査から査察調査に切り替わったケースで、調査の段階では、口裏合わせをするなど外注費としての実態を主張し、修正申告に応じないなど徹底抗戦を続けていたのではないかと思われますが、調査には落としどころもありますので、交渉により乗り切れたのではないかと思うと、非常に悔やまれる事案と言えます。